猫のかぎしっぽって事故やケガが原因なのかな~と思っていたのですが、実はそれだけじゃないみたい。
曲がっている猫のしっぽは「かぎしっぽ」と呼ばれ、日本国内にはかぎしっぽになっている猫が多く、特に長崎県はかぎしっぽの猫をよく見る地域なんだとか。
ぜんっぜん知らなかった!
かぎしっぽの猫を実物で見たことがないんですけど、そんなに日本に多いのかしら?
ここでは猫がかぎしっぽになる理由から、日本にかぎしっぽの猫が多い理由、他にも猫のかぎしっぽは縁起が良いとされている理由やかぎしっぽであるリスク(デメリット)をまとめてみました。
猫が「かぎしっぽ」になる理由
かぎしっぽとは「途中で折れていたり、曲がっていたりするしっぽ」のことを指します。
猫がかぎしっぽになるのは、主に2つの理由です。
- 先天的な理由
- 後天的な理由
かぎしっぽが先天的な理由であれば、大きな問題はありません。
後天的な理由であれば、生まれた後にトラブルに遭ってしまった可能性があります。
まずは「かぎしっぽになる原因」から見ていきましょか~
猫のしっぽが曲がっているのは「骨」が原因
猫がかぎしっぽになるのは「骨」が原因です。
しっぽは背骨の続きで、骨が変形しているからです。
猫のしっぽは背骨の延長で、約20個の尾椎(びつい)でできています。
尾椎の一部が減少していたり、骨同士がくっついたりすることで、かぎしっぽと呼ばれます。
先天的な理由で「かぎしっぽ」になる
先天的に「かぎしっぽ」になっている場合があります。
遺伝子的な要因で、生まれたときから曲がっているためです。
分かっている遺伝子は、「HES7」「T-Box」の2つ。
これらの遺伝子があることで、生まれつき「かぎしっぽ」になっていたりします。
かぎしっぽの猫は、ミックス猫が多いようです。
先天的な理由で猫に支障がなければ、かぎしっぽでも特に問題はないです。
事故などの後天的な理由で「かぎしっぽ」になる
後天的な理由で「かぎしっぽ」になる猫もいて、「かぎしっぽ」になるのは、以下のような理由があります。
- 子猫のとき、母猫に押しつぶされる
- しっぽをドアに挟む
- 人間にしっぽを踏まれる
- 交通事故に遭ってしまう
- 高いところから落下してしまう
猫のしっぽがかぎしっぽになるのは、物理的にこのような理由が挙げられます。
特に子猫のうちは骨が柔らかいので、何かしらの力が加わってしまった可能性があります。
猫の「かぎしっぽ」は2種類
猫のかぎしっぽには、しっぽの真ん中や先のほうが曲がっていることもありますが、実は他にも種類があります。
それが「カール」と「ボブテイル」といわれるかぎしっぽです。
それぞれどんな形なのか、かぎしっぽになっている猫の特徴も合わせて紹介します。
猫のしっぽが短いタイプのカールとボブテイル
猫のしっぽは主に3つに分けられ、そのうちの2つ「カール」「ボブテイル」がかぎしっぽです。
- 尾曲り尻尾(カール)=体に巻き付くような形
- お団子尻尾(ボブテイル)=お団子みたいになっている形
- 短尾(ボブテイル)=途中で尻尾が切れているように見える形
「かぎしっぽ」といえば、しっぽの途中が少しだけ曲がっている形を想像するかもしれません。
しっぽの途中でグイッと曲がっている猫だけでなく、複雑に巻き付いていたり、団子のような丸い状態など、いろんな形があるんですね。
ジャパニーズボブテイル(日本猫の丸まったしっぽ)やアメリカンボブテイルが有名です。
猫のかぎしっぽは手術が必要?リスクやデメリット
しっぽが曲がっている猫がいても、可哀想というわけではありません。
しっぽを触らせてくれない=痛みがあるということでもなく、全ての猫がしっぽが曲がっていても、痛いわけではないんです。
途中でしっぽが切れているように見える猫もいますが、猫にとってはそれが普通。
猫自身は問題に感じていない可能性が高いです。
生活に支障がないかぎしっぽなら、デメリットやリスクはとくにありません。
手術も不要ですが、あえてデメリットを挙げてみます。
猫の感情がわかりづらい
よく言われるのは、かぎしっぽになっている猫は感情が読みづらいかもということ。
単純にしっぽの動きがあまり見られないからです。
猫の感情もしっぽに表れたりしますが、かぎしっぽになっていると動きが少ないのが特徴です。
よく観察すれば分かるかもしれませんが、猫の感情はしっぽだけじゃやないので心配無用。
ワテと暮らしている白猫のしっぽはまっすぐですが、余裕で感情が読めないことがあるわー・・
かぎしっぽが引っかかる
かぎしっぽあるあるとして、「かぎしっぽが物にひっかかって落下する」ということはあるみたいですね。
猫本人は無意識で引っ掛けてしまうので、慌てるのは人間だけ。
机の上の置物や割れ物などには要注意ですね。
かぎしっぽはケガする可能性がある
かぎしっぽはモノが引っかかりやすいということと関連しますが、それによりケガしやすいことが考えられます。
コードが絡まって取れなくなったり、ぶつけたりしてしっぽが傷ついて、生活に支障が出てしまう猫もいます。
動物病院によって、かぎしっぽの猫に切断(断尾)を提案されることもあるようです。
ですが、病気などで切断せざるを得ないなら別ですが、家で飼われている猫は飼い主が気を付ければ猫のケガのリスクは減らせます。
人間も指や足に生涯があって不自由があれば、ケガや事故に遭いやすでしょう。
だからといって、指や足を切断するのでしょうか。
かぎしっぽの猫は不幸なことではなく、よほどの重大な理由がなければ、切断するべきではないんじゃないかな。
「かぎしっぽ」になったは成猫は手術が必要かも
成猫の場合は支障が出るかもしれません。
成猫になってしっぽが何かしらの要因で曲がってしまったら、早急に獣医師へ相談するのをおすすめします。
猫のしっぽには多くの神経が通っており、しっぽが曲がることで神経に傷がついてしまうからです。
苦痛を感じていたり、まっすぐだったしっぽが曲がってきた場合は要注意。
日本にかぎしっぽの猫が多い理由は「迷信」から
日本では「かぎしっぽ」になっている猫を比較的多く見かけます。
その理由はいろんな説があるのですが、「迷信」によってかぎしっぽの猫を増やしていたり「言い伝え」があるからです。
猫又が理由
江戸時代には「しっぽの長い猫が長生きすることで、妖怪である『猫又』になって害を及ぼす」と信じられていました。
飼い猫が「猫又」になってしまうことを恐れた人々は、しっぽの長い猫ではなく、しっぽの短いかぎしっぽの猫を増やそうとしたと言われています。
かぎしっぽの猫が日本で多い理由は、しっぽの長い猫が「猫又」になる都市伝説を信じたためです。
猫のかぎしっぽは「幸せが引っかかる」という理由
猫のかぎしっぽは幸運の印として、昔から大事にされてきました。
猫のかぎしっぽは、先がフックのようになっているので「幸せを引っかけてくる」と信じられているのです。
曲がっているしっぽの形が鍵に似ているとして、「幸せの扉を開けてくれる」とも考えられています。
このように、猫のかぎしっぽは縁起が良く、幸福を呼び寄せると考えられています。
長崎でかぎしっぽの猫が多い理由
歴史的な部分から、日本の中でかぎしっぽの猫は長崎が特に多いです。
長崎ではまっすぐのしっぽの猫が珍しいと言われるくらい。
かぎしっぽ率がわかる調査はいくつかあります。
京都大学野澤名誉教授が行った調査では、長崎県のかぎしっぽ率はなんと8割以上。
他府県の猫は平均4割程度なのでかなり多いことがわかりますね。
大規模な調査だと、1990年に全国1万2千匹の猫を対象とした調査があります。
かぎしっぽ率の高さは長崎県が1位79%となり、続いて鹿児島73.9%、宮崎県62.7%と九州が上位を占めています。
長崎にはかぎしっぽを調査している「長崎尾曲がりネコ学会」もあるくらいですから、それだけ多いことがよくわかります。
長崎にかぎしっぽの猫が多い理由として、鎖国していた江戸時代に長崎(出島)だけがオランダと交易していたという理由が挙げられます。
長崎尾曲がりネコ学会によると、長崎では冒頭でお伝えした「HES7」の遺伝子を持っている野良猫が8割とのこと。
HES7の遺伝子を持つ猫の原産地は、インドネシアやマレーシアなどに多く、オランダの拠点の一つがインドネシアです。
オランダとの交易で日本に来ていた船に、ネズミ除けとして船に乗せていた猫たちがそのまま居ついたと考えられます。
他に島が多いからという理由もあり、猫にとってしっぽはバランス能力の点から自然界では不利になってしまいます。
長崎は島が多く、島のように隔離された環境なら生き残る可能性が高くなります。
ワテはかぎしっぽの猫って写真やテレビでしか見たことないなー・・
猫が「かぎしっぽ」になる理由まとめ
「猫がかぎしっぽになる理由」や「日本にかぎしっぽの猫が多い理由」をお伝えしました。
猫が「かぎしっぽ」になるのは、生まれたときからの先天的な理由と事故などによる後天的な理由からです。
子猫のうちにしっぽが曲がってしまっても問題ありませんが、成猫になってからしっぽが曲曲がってしまったら、すぐに獣医師に相談してください。
かぎしっぽによって何かしらの支障が出ている場合も同様です。
しかし「かぎしっぽ」になっている猫は「幸せを引っかけてくる」と縁起が良いので、見かけたら幸運なことが起きるかもしれませんね。