手作り食

猫に生肉は危険!?キャットフードも注意

猫と生肉とキャットフードの危険性

猫は生肉を食べさせてはいけない生き物ではありません。

ですが、生肉は人も猫も危険性もあり、獣医師さんが加熱肉を推奨していたりします。

生肉が危険視される一方で、実はキャットフードも生肉と同じ危険性をもっています。

ここでは猫にとって生肉は本当に危険なのか、生肉やキャットフードの危険性についてまとめています。

猫に生肉を与えようか迷っている方は参考にしてくださいね。

猫に生肉は危険があるけど問題ない

猫に生肉を与えることは、生肉としての危険性が当然あるので危険といえば危険です。

やはり菌やウイルスや寄生虫の感染リスクがあるからです。

なので、あえてリスクのある生肉を猫に与える必要はなく、人への危険性もあることから加熱した肉を推奨する獣医師さんがいるわけです。

しかし、猫という動物として考えると、生肉を与えても大丈夫です。

そもそも加熱した肉を食べる肉食動物(野生)なんていません。

だからといって猫に生肉を与えるのが正しいのではなく、あくまでも猫の食性を考えると加熱肉よりも生肉が自然な食べ物であるというだけです。

加熱する理由は?猫に生肉を与える危険性とリスク

猫に加熱肉を与えた方がいい理由とは何があるのでしょう。

生肉がなぜ危険と言われるのか、その大きな理由は冒頭でお伝えしたようにウイルスや寄生虫などの危険性です。

加熱肉もデメリットがありますが食中毒などのリスクは少なく安全性は高いです。

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生肉は感染の危険性がある

生肉に反対する獣医師さんの意見として、食中毒のリスクが高すぎるという理由があります。

肉の表面だけでなく筋肉内に寄生することもあり、加熱が推奨されます。

猫に生肉を与えることは、カンピロバクター、サルモネラ菌、大腸菌、リステリア菌、トキソプラズマなどの感染リスクがあります。

鶏肉はカンピロバクターが多く、豚肉やジビエは肝臓に寄生する肝蛭(かんてつ)があり、これらのリスクが高いです。

豚やイノシシで多い、オーエスキー病(ウイルス)は致命的です。

これは生肉の鮮度に関係ありません。

厚生労働省は2003年に野生動物の摂食に関する危険性を通達しています。

同年に発生した野生のイノシシの肝臓を生食後にE型肝炎を発症し、2名のうち1名が死亡したためです。

また、トキソプラズマのように冷凍で死滅する菌もありますが、生存する寄生虫や菌もいます。

豚や馬などの家畜、鹿肉や猪などのジビエに寄生するトリヒナ(旋毛虫)があります。

これは加熱による予防しかありません。

人の食中毒だと、令和4年は962件あります。

ノロウィルスやカンピロバクターが多くを占めます。

平成30年~令和4年に発生した食中毒の主な原因は、細菌32.5%(カンピロバクター・アウェルシュ菌など)、ウイルス(ノロウイルスなど)14.5%、寄生虫43.5%(アニキサスなど)です。

死亡例は少ないですが、年間を通して発生しています。

カンピロバクターは稀にギランバレー症候群という難病になるケースもあり、米国では患者の10-30%が既感染者と報告されています。

ギランバレー症候群になる確率は0.1%で1000人に一人だったり、カンピロバクター感染1000回につき0.25例~0.65例だとか言われます。

生肉の汚染

生肉は感染リスクがあり、特にペット用の生肉の汚染は少なくありません。

ペット用の生肉(ペットフード)やそれを食べた犬猫を検査したら、サルモネラ菌やリステリア菌が検出されたといったデータは多くあります。

CVM(動物用医薬品センター)の2010年から2012年の調査では、196個の生食用ペットフードのうち15個がサルモネラ菌、32個がリステリア菌の陽性でした。

2018年の調査では、オランダで市販されている35種類の生の犬猫のペットフードのうち、80%が大腸菌やリステリア菌が検出されています。

2015年にはサルモネラ菌とリステリア菌の汚染があり、15件のリコールのうち12件が猫または犬用の生肉ベースの食事です。

耐性菌

細菌感染に欠かせない薬が抗生剤ですが、この抗生剤が利かないのが耐性菌です。

ブロイラーの鶏(食肉専用の大量飼育)はわかりやすいですね。

過密飼育の家畜は免疫力が低下し病気にかかりやすくなります。

そのため、家畜は病気予防や成長を早めるために抗生剤を飼料に混ぜて与えています。

薬剤耐性菌は人への多用や、家畜への抗生剤の過剰投与によって体内で抗生物質が一切効かない薬剤耐性菌がまん延します。

耐性菌が原因で感染すると、薬(抗生剤)が効かず最悪の場合は死亡します。

猫が生肉を食べなくても、頻繁に抗生剤を与えられていると耐性菌の可能性があります。

2015年~2017年の厚生労働省の調査で、食肉検査所などで鶏肉約550検体を調べると全体の49%から耐性菌が見つかりました。

国産の鶏肉59%から薬剤耐性菌が検出され、ブラジル産は34%と日本の鶏肉よりも低く、国産の鶏肉の方がヤバいという結果です。

犬猫だと、世界的に生肉のペットフードは薬剤耐性菌を蔓延させているという指摘があります。

イギリスで犬223匹のうち108匹が耐性菌の陽性反応を示し、32匹がペットフードの生食のペットフードを食べたと報告されています。

「犬は糞便中に抗生物質耐性菌を排泄する可能性が高い」という結果を発表しており、そこから人への感染もあるということです。

これは猫も同様のことがいえるでしょう。

生肉を猫が食べられる理由は胃酸?

生肉は危険性があるものの、猫は生肉が食べられます。

その理由の一つとして、強力な胃酸です。

猫の胃酸は強酸性

  • 人の胃酸pH1.5~3.5
  • 猫の胃酸pH1~2
  • ハゲワシ(タカ)の胃酸pH1未満
  • 草食動物の胃酸pH4~5

生肉を主食とする肉食動物の猫の胃酸は非常に低く強酸性です。

強酸性の環境下は生肉や生骨を分解し、サルモネラ菌やカンピロバクターや大腸菌などの病原菌を殺すのに効果的です。

猫よりも強烈な強い胃酸を持つハゲワシ(ハゲタカ)は、腐肉食動物(スカベンジャー)です。

腐肉を食べても病気にならないのは、強酸性の胃酸が病原菌を殺すためと言われています。

ハゲタカ・ハゲワシの捕食

糞尿にも強酸が混じっているので、死肉に浸かった脚や周囲の環境を消毒しているんだとか。

猫は菌を保有している

生肉は感染のリスクが危険視されますが、カンピロバクターは野生動物や家畜が保有している菌です。

野生猫のカンピロバクターの保有率は最大45%、他にサルモネラ菌を保有しているというデータ(海外)があります。

別の調査では、152匹の猫の糞便のうち37個(24%)からカンピロバクターの陽性が出ています。

猫が菌を保有していても通常は症状が出ず、猫の免疫力が弱いと発症することがあります。

サルモネラ菌に関して2017年の研究では、猫の有病率は1%未満というデータがあります。

免疫力の弱い子猫やシニアの猫、多頭飼育といったストレスの多い環境下では免疫力が下がりやすくなります。

猫に問題がなくても人に危険性が及ぶわけですが、人も食中毒を起こす人と起こさない人がいてその違いは免疫力です。

菌は胃酸など自分の免疫で殺菌します。

粘膜免疫という口の粘膜、鼻の粘膜、大腸や小腸の粘膜は重要な免疫ですが、胃酸もその一つです。

正常な免疫があればこれらが機能します。

ストレスや疲れが蓄積され体調が優れないときには、腸内環境が乱れて菌に感染しやすく、腸炎を発症し重症化しやすいです。

感染は生肉だけじゃない!キャットフードも危険

感染症の問題から生肉は猫も人も危険と言われますが、感染は生肉だけでなくキャットフードでもあります。

サルモネラ菌

キャットフードを食べて猫がサルモネラ菌に感染したというのもあり、生肉だけが危険ではありません。

キャットフードを食べた猫や触った手から人へ感染することもあります。

CDC(米国疾病管理予防センター)は生肉(生食)を推奨していませんが、ドライフードや缶詰に関しても、感染する可能性があるため手洗いをするよう注意喚起しています。

サルモネラ菌の検出は、キャットフード(ペットフード)のリコールの代表格。

生肉で騒がれていますが、キャットフードはリスクが高いです。

これまでにサルモネラ菌やリステリア菌でリコールになったペットフードメーカーの中には、日本で売られているメーカーもあります。

マイコトキシン

2021年イギリスではキャットフードの汚染により、汎血球減少症(はんけっきゅうげんしょうしょう)を引き起こし300匹以上の猫がなくなっています。

決定的ではないのですが、キャットフードのマイコトキシン(アフラトキシン)というカビ毒が原因の可能性があるようです。

マイコトキシンはカビ(真菌)が作る毒素の総称で、猫も人も動物も病的被害を引き起こします。

アフラトキシンはマイコトキシンの中で中毒症状は最強と言われています。

重度の汎血球減少症を起こした猫544匹の食歴を分析すると、そのうち500匹の猫が2021年6月のリコールに関わる3ブランドのいずれかを食べていました。

質の悪い生肉が猫に危険である

生肉は感染のリスクがあるため、生肉を猫に与えることで猫も人も危険性があるのは確かです。

しかし、キャットフードもサルモネラ菌などの危険があり、生肉だけが問題ではありません。

重要なのは猫にとって生肉が危険なのではなく、どんな生肉を選ぶのか、そして生肉の扱いや品質です。

人の食中毒は毎年起こっていますが、だからといって「刺身は危険だから食べてはいけない」と言われることはありません。

刺身や生ガキ、牛肉はレアや生、生野菜を食べたり、鹿児島県なんかでは独自基準で処理された鶏刺しもあります。

人も猫もウイルスや細菌が沢山いて感染のリスクがある中で生活しています。

生肉の扱いに注意して、猫も人も衛生的で免疫力があれば生肉が危険ということではありません。

猫に生肉を与えても大丈夫ですが、加熱するのが無難ですね。

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猫に生肉もキャットフードも危険性があるが理由のまとめ

前提として猫に生肉を与えてはいけないということではありません。

生肉もキャットフードも危険なのではなく、品質と扱いに問題があるのです。

猫に生肉を与えることで感染のリスクがあるから危険と言われますが、キャットフードも同様に危険視するべきです。

生肉だけが危険なのではなく、キャットフードで人も感染する事例があります。

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