普段はキャットフードを与えていても、トッピングに生肉を追加したり、おやつで与えたりといろんな飼い主さんがいます。
いざ自分も猫に生肉を与えてみようと思った時、気になるのは生肉のメリットとデメリットです。
猫に与えるなら、生肉か加熱した肉かどっちがいいのか迷っている方もいると思います。
加熱肉の方が安全性は高いですが大きなデメリットがあります。
この記事は生肉と加熱肉のを与えたいけど迷っているという方に、生肉の与え方や加熱肉のデメリットなどをまとめました。
生肉と加熱肉どっちがメリットが多い?
加熱肉と生肉を比べると、猫にとっての理想は生肉です。
肉食動物ですから当たり前ですよね。
ですが、重要なのは生肉のメリットではなく猫に合っているか、安全かどうかです。
いくら衛生管理が厳重な高品質の生肉を与えても、それが合わない猫もいます。
そして猫に生肉を与えてはいけないケースもあります。
一概に生肉と加熱肉のメリットとデメリットだけでは決められません。
迷ったときは加熱肉を与えて、キャットフードのトッピングに使用するといいです。
猫に与える生肉のメリットとデメリット
まずは生肉のメリットとデメリットから見ていきましょう。
- 良質な栄養摂取
- 水分補給
生肉なので良質な栄養素をそのまま摂取することができます。
最も効率的に水分補給できるのは水を飲むこととは限らず、生肉は食材と水分が分離されていないので猫の体への吸収がいいです。
水は猫の体が必要とする栄養素の一つ。
本来、猫は食べ物から水を十分摂取しているため、水をあまり飲みません。
キャットフード(ドライフード)の水分量は最大10%に対し生の鶏肉は70%以上なので、生肉のような食べ物から水と栄養を同時に摂取するのが効率的です。
生肉で摂取できる水分量を、キャットフード(ドライフード)を食べている猫が補うのはかなり難しい。
仮に水分を補うために猫が大量にお水を飲んでも、尿として出ていくだけです。
腎臓病の猫は肉の種類や量に注意ですが、肉からの水分摂取によって腎臓病の予防も期待できます。
また、また加熱による酸化のリスクも減るので、これも生肉のメリットと言えます。
生肉だと酵素も摂取でき酵素は賛否ありますが、ビタミンやミネラルなどの栄養素の吸収や代謝などに関わります。
- 食中毒や寄生虫のリスク
(人も猫も)
生肉の最大のデメリットは食中毒や寄生虫です。
これは食肉もペット用の生肉も同じように危険性があります。
いくら猫が健康でも感染するリスクがあります。
https://nekosandesu.com/namaniku-kiken/
加熱肉を猫に与えるメリットとデメリット
続いて加熱肉のメリットとデメリットです。
- 食欲増進
- 感染などのリスクが少ない
加熱肉の最大のメリットは安全性です。
生肉は猫に生で与えるため少なからずウイルスや寄生虫などの感染リスクがあります。
しかし肉を加熱することでそのリスクはなくなり、安全性の高い食材となります。
- 栄養素の損失や変性
加熱肉を猫に与える大きなデメリットは栄養素の損失です。
肉を加熱することで栄養素が減少したり、栄養素が変性するデメリットがあります。
加熱肉はデメリットが大きい?「ポッテンジャーの猫」
生肉や加熱肉の猫への影響を調べると、必ずたどり着くであろうデータが「ポッテンジャーの猫」と呼ばれる実験です。
これは生肉の優位性を示した猫の実験です。
下記で一部をお伝えしますが、この実験からもわかるように生肉で得られる栄養素は重要です。
加熱によって生肉のデメリット(ウイルスや寄生虫)はなくなりますが、加熱肉のデメリット(栄養素の損失)を補わないと長期的に見ると危険です。
生肉を食べた猫は正常・健康
アメリカのフランシス・ポッテンジャー博士は、1932年から1942年にかけて、加熱食材の影響について900匹の猫の実験をしました。
- 普通食
生肉(内臓や骨を含む)・生乳・タラ肝油 - 欠陥食
加熱処理した肉・生乳・タラ肝油
普通食の生肉を与えられた猫は、毛並みがキレイで元気に走り回り運動能力も優れていて繁殖行動も正常で健康でした。
加熱された肉を与えられた猫は、顔や歯の構造にバラつきがあったり、心臓病・腎臓や肝臓などの感染症・甲状腺の炎症や低下などが観察されました。
皮膚病・関節炎・歯肉炎・行動異常(メス猫は攻撃的でオス猫は消極的)など、さまざまな健康上の問題がありました。
他にも生乳を殺菌乳にしたり加糖練乳にしたりといろんな食餌で実験されていますが、生乳を与えられた猫が最も健康的でした。
加熱食(肉)は世代にわたり退化
ポッテンジャーの猫の実験では、猫に与える食餌の影響だけでなく、世代にまで影響することもわかりました。
加熱処理された肉の食事を与えられたグループは、世代を追うごとに悪化しています。
加熱食の3世代目の猫は顕著で、ぜんそくを発症した猫として世界初の報告例となったケースがあります。
運動能力の面でも3世代目の加熱食を与えられた猫を高い所から落とした時に、足で着地できず背中から落ちたそうです。
世代を経るにつれて、ノミや腸内寄生虫・皮膚炎・アレルギーも多く症状が悪化しています。
流産の確率も高くなり分娩中に死亡する猫も多く、第3世代では生殖することができず世代が途絶えました。
繁殖行動に興味がなく、たとえ妊娠しても正常に成長できなかったようです。
生肉を与えられた普通食のグループの猫は、第4世代も第5世代も健康であり続けました。
加熱食の猫が生食に移行して通常の健康状態を取り戻すまでに4世代かかったようです。
逆に生食から加熱食に移行した場合、半年~1年という短期間であっても通常の子猫を産めなくなるほど健康状態が悪化します。
この実験で言えるのは肉を加熱することで栄養素が失われ、その影響も大きいということです。
生肉が最良で加熱肉が悪いのではなく、完全な手作り食で加熱肉を与えるなら栄養素をしっかり考慮しなければなりません。
キャットフードのトッピング(少量)や間食に加熱肉を使うだけなら、栄養バランスの崩れがほぼないので気にしなくても大丈夫。
世代にわたっての影響は人間も同じで、昔と今とでは病気の種類も罹患率も激増ですよね。
猫に生肉を与えてはいけないケース
生肉は感染や寄生虫のリスクがあります。
そのリスクがある以上、免疫が低下していたり、胃腸が弱い猫や肝臓などの病気の猫は生肉を控えましょう。
お肉の品質がよほど悪くない限り、どんな猫も少しくらい生肉を食べたくらいでは何ともないです。
ですが、猫の免疫が下がっている場合は、感染リスクがあるので生肉を与えるのは控えた方がいい場合もあります。
抗がん剤治療をしている猫とか。
我が家の白猫さんは過去に免疫抑制剤を飲んでいたことがあり、その時は加熱したお肉を与えていました。
猫に生肉を猫に与える注意点
猫に生肉を与える上での注意点を確認しておきましょう。
- 質の良い肉を選ぶ
=質が悪いと健康上に悪影響が出る - 体力のある猫に生肉を与える
=免疫低下や胃腸弱い猫には控える - ペット用の肉は要注意
=品質基準がバラバラ - 不衛生にしない
=肉用と野菜用でまな板や包丁を分けたり手洗いをきちんとする - 生のレバー(動物による)や豚肉は加熱する
=ウイルスや寄生虫が多い
ざっくりですがこのような注意点があります。
質の良い生肉を選ぶのはもちろんですが、生肉を与えないほうがいい猫のケースと同じで免疫力の弱い猫は加熱肉の方がいいです。
その点、キャットフードは高温で加熱したものなので安心ですが、いろいろと注意点もあります。
また、キャットフードを食べている猫は胃酸が弱かったり、同時に食べることで生肉の菌を上手く殺菌できない場合があります。
間食として肉を与えるといいかもしれないですね。
忘れてはいけない注意点が不衛生にしないことです。
人も猫も免疫力が弱くなっていたり、肉の不適切な扱いで食中毒が起こります。
生肉を切った後のまな板・包丁・手からの二次感染が多く、生肉を切った後に野菜などの他の食材を切ったり、肉と他の食材でまな板を分けましょう。
まな板や包丁は洗剤で洗った後に、熱湯をゆっくり回しかけると殺菌できます。
※まな板は木製の方がいいがカビが生えやすかったり黒ずみやすいので毎回しっかりお手入れをしてください
手洗いは洗剤で10秒もみ洗い流水で15秒すすぐ、これを2回するとノロウィルスは数個に減少するようです。
生肉を猫に与えてはいけないケースとメリットのまとめ
生肉も加熱肉もメリットとデメリットがあります。
生肉のデメリットを考えると、免疫が弱っていたり胃腸が弱い猫には注意が必要です。
あとは肉選びや衛生面をしっかりしましょう。