キャットフードに使われている肉ってどんな肉なんでしょう。
キャットフードの原材料には、肉類・ミール・肉副産物などと言われる原材料があります。
これらの原材料にはいろんな動物や肉が使われていて、結構ビックリな感じのものもあったりします。
まあ「原材料が悲惨」ってのは個人主観ですから、「キャットフードなんだから普通でしょ?」と思う方もいるでしょう。
人間が食べられないような部位にも栄養があって、それを猫は喜んで食べますからね。
ここではキャットフードの肉に関する原材料についてまとめてみました。
キャットフードの原材料の肉は肉ではない
市販されているキャットフードの裏を見ると、原材料に肉(チキンなど)や肉類と書かれています。
しかし、キャットフードの原材料「肉」は、多くがスーパーに売られているようなもも肉や胸肉といった肉(筋肉)ではありません。
基本的に、食用となるような肉の部位(筋肉)はキャットフードに使われません。
こだわっているメーカーもありますが、キャットフードの原材料になる肉は食用に使えない部位が主です。
そこをまずは知ったうえで、キャットフードの原材料に使われる肉の種類を見るとイメージしやすいと思います。
「AAFCO」キャットフードの原材料「肉」の用語
キャットフードに使われる肉の種類は、あらゆるペットフードメーカーが参考にするAAFCO(アフコ)によると基本的に肉の分類は9つあります。
(AAFCOの他にもありますが、ここでは王道的なAAFCOを取り上げます)
そして、動物の種類によって表記が変わります。
いろんな分類があるのですが、ここでは一般公開されている部分をまとめています。
種別を指定 | ・肉 (meal) ・肉副産物 (meat by products) |
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種別の指定なし | ・肉粉 (meat meal) ・肉骨粉 (meat and bone meal) ・動物性副産物ミール (Animal by product meal) |
種別は家禽類 | ・家禽類 (poultry) ・家禽類副産物 (Poultry by product) ・家禽類副産物ミール (poultry by product meal) ・家禽類ミール (poultry meal) |
これらがキャットフードに使用されている代表的な肉の種類や用語です。
肉の表記として「肉・動物性・家禽類」の3つがあり、何の動物を使うのか指定が必要だったり指定しなくてよかったりします。
原材料のラベル表記によって、どんな動物が使われているのかわかる場合とわからない場合があるということです。
キャットフードにはどういった動物の肉が使われているのか、AAFCOを参考に副産物やミールなどの意味を見ていきましょう。
キャットフードの原材料「肉(ミート)」
肉(meat)とは、キャットフードに使用される肉の中で、最も品質の良いキレイな肉とされます。
肉(ミート)に含まれるもの
キャットフードの肉(ミート)に含まれるのは、と殺された哺乳類に由来するキレイな肉です。
屠殺された哺乳動物に由来するきれいな肉。骨格筋の一部、舌、横隔膜、心臓、食道に見られる部分に限られ、付随する脂肪、肉に付随する皮膚、筋、神経、血管の部分は含んでよい
人間が食べている肉は筋肉の部分ですが、猫が食べるキャットフードにはそれ以外の部位が含まれるのが基本です。
猫のためだけに家畜を育てることはなく、基本的に人が普段食べている肉はキャットフードに使われません。
※肉(ミート)に骨は含まれないが軟骨は含む。
肉(ミート)のラベル表記
キャットフードのラベルに肉(ミート)と表記するためには、決まった肉の種類を使う必要があります。
・牛・豚・羊・山羊
いずれかの動物を使用している場合のみ肉(ミート)と表記できます。
これ以外の動物の肉は肉(ミート)と表記できません。
「鹿肉(ベニソン)」「鶏(チキン)」といった種類を特定した表記が必要です。
原材料「肉副産物」とは?
肉副産物はキャットフードに含まれる肉の中で、2番目にキレイな肉です。
肉副産物に含まれる原料
と殺された哺乳類に由来する、肉以外のレンダリングされていないきれいな部分です。
副産物とは食用の肉(筋肉)ではなく、動物の肉以外の部分です。
屠殺された哺乳動物に由来する、食肉以外の非レンダリングのきれいな部位。肺、脾臓、腎臓、脳、肝臓、血液、骨、部分的に脱脂された低温脂肪組織、内容物を取り除いた胃や腸が含まれるが、これらに限定されない。毛、角、歯、蹄は含まれない。
胃や腸の内容物は除去されますが、適切に処理したうえで避けられない量を除きます。
肉副産物は動物の内臓や骨を含む、筋肉組織以外のほとんどの部分です。
なので、鶏の首といった骨も含みます。
レンダリングとは?
畜産用語のレンダリングとは、水分と脂肪を除き、食用と工業用の油脂を生産する工程です。
レンダリングには、動物の死体(屠畜以外も含まれる)や食肉加工残渣(食用にならないくず肉や内臓など)が使われます。
畜産や水産の廃棄物を高温処理によって、菌やウイルスを死滅させています。
※屠畜・屠殺とは食肉加工のために処理・解体すること
レンダリングはやや気持ちが悪いですが、製造される油脂は私たち人間と非常に馴染みのあるものです。
たとえば、牛脂やラードやマーガリン、その他に石けんなどの原料もレンダリングで製造されています。
そして、油脂を作った後で絞りかすとなる肉粉ができ、ペットフード原料(ミールや肉骨粉)や畜産の飼料や肥料などに利用されます。
そういえば一時期話題になりましたが、コンビニ各社は食品残渣を飼料化して、それを原料とし食肉を再度自社の商品に転換する動きがありますね。
たとえば、食品残渣を飼料にして、それで飼育した豚を使った弁当や惣菜パンを製造しています。
一昔前は汚染された肉骨粉が原因と考えられているBSE(狂牛病)もありましたね。
今はBSEのリスクが高い特定危険部位は、適切に処理し除去した後、焼却されています。
肉副産物のラベル表示
肉(ミート)と同様です。
肉副産物も牛、豚、羊、山羊に由来しない限り、種類を特定する必要があります。
牛、豚、羊、山羊由来の複数の肉を使用している場合、キャットフードのラベルに肉副産物と表記できます。
原材料「肉粉(ミートミール)」とは?
ミートミールとは、と殺された動物またはと殺されていない哺乳類の肉をレンダリングしてできた肉粉です。
レンダリングした大部分は、タンパク質やカルシウムやリンの供給源となります。
脂肪を除くので高たんぱく低脂肪です。
肉粉に含まれる原料
肉粉(ミートミール)というラベル表記からわかるのは、と殺された動物とそれ以外の哺乳類の動物ということだけです。
レンダリングされた哺乳類組織。適正な加工方法で避けられない量を除き、血液、毛、蹄、角、皮の切り落とし、糞尿、胃およびルーメン内容物を加えたものを除く。
肉副産物と同じように、ミートミールも避けられない量を除き胃腸の内容物は含みません。
避けられない量となっているので、基本的にミートミールに糞便は含まないと思っている方が多いのですがそんなこともないです。
「●●ミール」の表記はキャットフードで非常に多く見ます。
ミールは懸念される原材料の一つですが、キャットフードに「●●ミール」と表記されていても、必ず副産物や質の悪い部位が含まれているわけではありません。
同じミールでも国や表記によって使われる肉(部位)や意味が異なります。
家禽類とは?
家禽類とは、肉や羽毛などを使用するために飼育されている鳥の総称です。
鳥の種類の指定がありません。
家禽類、家禽類副産物、家禽類ミール、家禽類副産物ミールがあります。
原材料に含まれる肉、皮、骨の割合に条件はなく、皮と骨だけでもOK。
家禽類
家禽類の肉、皮、骨を含む、羽、頭、足で内臓は含まれません。
肉、皮、骨の割合に規定はなく、たとえば皮と骨だけでも家禽類と表記できます。
AAFCOの公式サイトには「背中や首などの収益性の低い廃棄部分で構成されることが多い」と書かれています。
肉とは異なって骨が含まれていることもあり、骨を粉砕するとカルシウムの供給源です。
家禽類副産物
屠殺された家禽の頭、足、内臓などのレンダリングされていない清潔な部分です。
工場でやむを得ず発生する可能性のある微量を除いて、糞便や異物を含みません。
家禽類副産物ミール
家禽副産物ミールには、首、頭、足、未成熟卵、腸など全てを含むことができます。
ミールなのでレンダリングされたもので、避けられない量を除き羽も含みます。
家禽類ミール
家禽の肉、皮、骨が含まれます。
レンダリングされた家禽類で、羽、頭、足、内臓を除いた骨付きまたは骨無しのものです。
家禽類のラベル表記
家禽類なのでニワトリだけではなく種類を特定しません。
複数の種類の家禽類を使用している場合に、家禽類ミールや家禽類副産物などと表記されます。
キャットフードに使われる家禽類には、
・鶏肉(チキン)・七面鳥(ターキー)・カモ(ダック)
などがあります。
肉(ミート)もそうですが、骨が取り除かれていれば骨抜き家禽と表記できます。
動物性副産物ミール
と殺された動物、またはと殺されていないすべての動物が含まれる、レンダリングされたものです。
動物の種類の定義はなく、どのような動物も含まれます。
複数の動物が含まれる場合に動物性と表記されます。
牛を使っていれば牛副産物ミール、鶏なら鶏副産物ミール、複数の動物なら動物性副産物や動物性副産物ミールと表記されます。
副産物とミールなので、避けられない量を除き、角、蹄、皮、腸(内容物も含む)など全部位が含まれてもよいとなっています。
肉骨粉(ミートボーンミール)
ミートボーンミールはミートミールとほぼ同じで、さらに骨を追加したものです。
骨を含む哺乳類組織をレンダリングしている。
正しい処置で取り除けない量を除き、血液、蹄、角、皮・糞・ルーメン(反芻胃)は含まれない。
肉骨粉は狂牛病で有名になりました。
牛の肉骨粉は日本ではペットフードに使えませんが、あらゆる形で間接的に猫が摂取している可能性があります。
レンダリングという性質上、気を付けたい原材料の一つです。
キャットフードの原材料「肉」の意味は曖昧
ここまで肉の用語を見てきましたが、キャットフードのラベル表記からどんな肉の種類が使われているのか、何となく想像できたでしょうか。
でも、AAFCOの定義を見てもわかりにくく、疑問に思うところはたくさんあります。
メーカーがAAFCOの定義をきちんと守ってキャットフードを作っていても、こちら(飼い主側)はわからないことが多いです。
肉(ミート)の定義だけを見ても、いろんな動物の部位が「肉」という名前でラベル表記されています。
キャットフードに含まれる胃腸の内容物でいえば、野生の猫はネズミや鳥を狩って胃腸の内容物もそのまま食べます。
なので、キャットフードに糞尿が含まれていてもおかしなことではありません。
人が食べない廃棄する部位も貴重な栄養源ですからね。
しかし、キャットフードに含まれている場合はその品質が不明です。
信頼のおけるメーカーのキャットフードを探しましょう。
「日本の肉の定義」ペットフード公正取引協議会
日本のキャットフードの肉の定義を見ていきます。
先述したのはアメリカ(AAFCO)の肉に関する定義ですが、日本ではどうなっているのか。
ペットフード公正取引協議会というのがあり、AAFCOの基準を採用している日本版のAAFCOといった感じ。
ペットフード公正取引協議会が定義している肉として、「肉類」という原材料の分類名があります。
牛・豚・羊・うさぎなどの畜肉や獣肉、その副生物および加工品
鶏・七面鳥・うずらなどの鳥肉やその副生物および加工品
上記原料のレンダリング物等
新鮮な又は適正な方法により保存されている哺乳動物・家禽類等の生肉、肉体部分、上記動物の体又は体の一部から生じる全ての副生物やその加工物
日本のキャットフードの肉の定義は肉類に分類され、AAFCOよりもかなり広くなっています。
肉の種類や定義はいろいろありますが、キャットフードを選ぶときはなるべくどんな動物のどんな肉の部位が使われているのかがわかるといいですね。
もしくはフレッシュフードという、手作り食の総合栄養食みたいなものを選ぶのもいいと思います。
ドライフードやウエットフードよりもはるかに加工度合いが低く、原材料もはっきりしています。
キャットフードの原材料「肉」の種類と意味のまとめ
キャットフードの最も重要な原材料である肉。
いろんな部位が使われていて栄養満点にも思えますが、猫は肉食なのでキャットフードの原材料(肉)にはこだわりたいところです。